金子 亜美 (KANEKO, Ami)
ステイタス
OG
連絡先
kaneko.ami[at]cc.utsunomiya-u.ac.jp
研究課題
植民地期南米イエズス会布教区におけるキリスト教化と先住民社会の再編成
研究関心領域
文化人類学(特に儀礼論、言語人類学、キリスト教の人類学、アマゾニア民族学)
キーワード
南米先住民の歴史、カトリック、イエズス会布教区(17-18世紀)、チキタノ、カビルド
対象地域
スペイン領南米イエズス会布教区(チキトス地方)
研究内容
植民地時代の南北アメリカにおいて、先住民のキリスト教化は諸帝国の版図拡大にむけた公式事業の一環として進行した。とりわけ統制力の及びづらい辺境地域でその前線を担ったのが、諸修道会の宣教師である。本研究では、17-18世紀スペイン領南米の先住民とイエズス会宣教師の接触と交流の歴史、そしてその長期的な帰結に光を当て、言語や音楽を用いた宣教と改宗の軌跡が、宣教師および現地住民のキリスト者としての主体性を(再)形成した様相を明らかにする。
My study explores how Chiquitano people, an indigenous population in lowland South America, have become devout Catholics who situate their mythical origin in a biblical event. I challenge existing anthropological studies on non-Western Christianity. These tend to exaggerate the continuity of local sensibility and underestimate historical changes in subjectivities induced by Christian encounter. In my study, two types of analyses are carried out: First, I examine Chiquitano’s Catholic encounter documented in historical sources from 17th to 18th centuries in the Jesuit missions. These documents show how the Jesuits managed to form Catholic-subjectivity among Chiquitano, assimilating their native customs of warfare and welcoming of neighbors to the sacramental rituals particularly baptism and the Eucharist. Second, I investigate ethnographic data collected in San Ignacio region in eastern Bolivia, 2014-2016, of Catholic rituals in the liturgical feasts practiced by a religious institution cabildo, originated from a council of the Spanish colonial administration. I identify Chiquitano traditional norm of reciprocity between “host (dueño)” and “guest (pozoca)”, a scheme essential to the rituals in which cabildo should welcome their neighbors with music. In terms of this scheme, Chiquitano narrate their mythical encounter with Catholicism: It was Chiquitano themselves as hosts who welcomed Infant Jesus as a guest to their village in the Nativity, singing in chorus or playing violin, flutes and drums.
研究業績
著書
著書(単著)
『宣教と改宗:南米先住民とイエズス会の交流史』、風響社(URL)。
著書(共著)
2019
『音楽を研究する愉しみ:出会う、はまる、見えてくる』金子亜美・小倉志穂・神野知恵・田中有紀・井上さゆり著(担当箇所:「第一章 音楽は言葉を越える:南米先住民と他者、そして出会いを媒介する音」)、風響社(URL)、pp.7-22。
事典の項目
2017
「ボリビア多民族国」中牧弘允(編著)『世界の暦文化事典』、丸善出版、pp.392–395。
2021
「辺境地域」ラテンアメリカ文化事典編集委員会(編)『ラテンアメリカ文化事典』、丸善出版、pp.88-89。
論文
査読あり
2014
「指標的記号形態としての音の研究に向けて:シルヴァスティンのコミュニケーション理論に基づく試論」『音楽学』60(1): 14-29. (pdf)
2016
"Diferencia de habla entre hombre y mujer: transformación del significado metapragmático sobre la indicialidad de género en el idioma chiquitano." María Laura Salinas y Fátima Victoria Valenzuela (eds.) Actas de las XVI jornadas internacionales sobre las misiones jesuíticas. Resistencia: Instituto de investigación geohistóricas, pp.132-149.
2017
"Un informe musicológico sobre la música del cabildo indígena en San Ignacio de Velasco." Revista estudiantil de antropología y arqueología. 4: 91-98.
2020
「キリスト教化と言語:南米チキトス地方のイエズス会布教区におけるジェンダー指標の用法から」、「特集 指し示すことをめぐるダイナミクス:言語人類学と指標性」より、『文化人類学』84(4): 503-521.
査読なし
2020
「キリスト教化を通じた文化および社会の変容:文化人類学的研究の系譜と展望」『宇都宮大学国際学部研究論集』49:27-39.(URL)
翻訳
スペイン語からの翻訳
2020
ギジェルモ・ウィルデ「第一章 本質的なものと中立的なものの間で:南米植民地の辺境地域における宣教師の知識と適応」金子亜美訳、齋藤晃(編著)『宣教と適応:グローバル・ミッションの近世』、名古屋大学出版会、pp.54-87(URL)。
書評
査読あり
2012
「書評 M. クレイトン、T. ハーバード、R. ミドルトン編『音楽のカルチュラル・スタディーズ』」『音楽学』58(1): 45-47.(pdf)
学会・口頭発表
査読あり(単著)
"Transformación del significado social de la diferencia sexual en el idioma chiquitano: un estudio antropológico sobre las oraciones católicas en la Chiquitania.” Tierras bajas: segundas jornadas de antropología, historia, arqueología. Museo de Historia de la Universidad Autónoma Gabriel René Moreno, Santa Cruz de la Sierra, Bolivia.(pdf)
「チキタノ語の親族名称におけるジェンダー指標をめぐって」日本文化人類学会第50回研究大会(南山大学)(pdf)
2015.10.16
2016.5.28
2016.06.27
2018
"Indicialidad de género en la terminología de parentesco en el idioma chiquitano." XVI Jornadas internacionales sobre las misiones jesuíticas. Instituto de Investigaciones Geohistóricas, Resistencia, Argentina.
2016.10.23
「ボリビア、チキトスのミッションと音楽」第12回松下幸之助国際スカラシップフォーラム(東京大学) (pdf)
2016.11.13
「南米大陸での宣教活動における音楽コミュニケーションの記号論」日本音楽学会第67回全国大会(中京大学)
2017.3.18
「言語の選別と淘汰をめぐるポリティクス:南米、チキトスのイエズス会ミッションにおける言語政策とその帰結」社会言語科学会第39回大会(杏林大学)
2017.5.28
「多言語状況における先住民のキリスト教化:チキトスのイエズス会ミッションにおける言語と音楽の使用をめぐって」「分科会:多言語状況における実践、制度、そしてコミュニティ成員の社会化」日本文化人類学会第51回大会(神戸大学)(pdf)
2018.11.8
"Regalos de los Reyes Magos y relación recíproca en la fiesta patronal en la Chiquitania". Tierras bajas: III jornadas de antropología, historia y arqueología. Museo de historia de la Universidad Autónoma Gabriel René Moreno, Santa Cruz de la Sierra, Bolivia.
2019.6.1
「キリスト教化とローカリティの連続性/不連続性:アマゾニア民族学と言語人類学の接合にむけて」「分科会:言語人類学とエスノグラフィ:コミュニケーションから文化を記述する」日本文化人類学会第53回大会(東北大学)
2020.7.30
"Christianization and Language: Linguistic Anthropological Analysis on Gender Indexicality in the Jesuit Missions of Chiquitos, South America". Sexto Congreso Internacional de Antropología AIBR, online edition.
査読あり(共著)
「分科会:多言語状況における実践、制度、そしてコミュニティ成員の社会化」山下里香氏との共著、日本文化人類学会第51回大会(神戸大学)(pdf)
査読なし(単著)
2012.2.18
「音楽の人類学的探求:アラン・メリアム『音楽人類学』を通して」政治経済史学会音楽と社会フォーラム(大東文化会館)(URL)
2017.6.17
「チキトス地方における言語、音楽、テクストの現状に関する人類学的研究」 イベリア・ラテンアメリカ文化研究会第 69 回例会(津田塾大学)(pdf)
2019.4.24
「植民地期南米イエズス会布教区におけるキリスト教化と先住民社会の再編成」第38回学問の倫理と方法研究会(宇都宮大学)
2019.8.20
"Cristianización de amerindios y discontinuidad local: dinámica de intervención y cambio de las categorías simbólicas". Territorio y circulaciones: Nueva historia global de la Iglesia católica y las prácticas religiosas. Instituto de Historia Argentina y Americana, Dr. Emilio Ravignani, Sala de Investigadores “Jorge Gelman”, Buenos Aires, Argentina. (URL; pdf)
パネリスト
2018.10.20
「特別シンポジウム:フィールドから見た音楽」第14回松下幸之助国際スカラシップフォーラム(東京大学)
2019.8.15
Charla: "Los estudios latinoamericanos en Japón". Núcleo de estudios de Japón en la Universidad San Martín, Buenos Aires, Argentina. (pdf)
コメンテーター
2017.5.28
2016.7.30
柴田香奈子氏の口頭発表「コミュニケーション・ツールとしての修道院手話、手まね」に対して、筑波人類学研究会第19回定例会(筑波大学)
報告書
2015
"Música del cabildo en San Ignacio hoy, y su vinculación con la tradición misional." Informe inédito entregado a los informantes en San Ignacio de Velasco.
2016
"Música del cabildo indígena, San Ignacio de Velasco." Informe inédito entregado a los informantes en San Ignacio de Velasco.
2016
松下幸之助記念財団国際スカラシップ成果報告書(pdf)
2016
「ボリビア、チキトスのミッションと音楽」、第12回松下幸之助スカラシップフォーラム報告書
2018
「特別シンポジウム:フィールドから見た音楽」、第14回松下幸之助スカラシップフォーラム報告書
2019
「17-18 世紀、南米チキトス地方のイエズス会布教区における先住民のキリスト教化と音楽」、松下幸之助志記念財団研究助成報告書(pdf)
学位論文
2010
「ユーロヴィジョン・ソング・コンテストにおける表象と政治性の交錯」(2010年度東京芸術大学音楽学部提出卒業論文)
2012
「声・発話・歌:堆積する時間に根ざした儀礼研究への試論」(2012年度東京大学総合文化研究科提出修士論文)
2020
「南米先住民の歴史とキリスト教:チキトス地方におけるカトリック儀礼の民族誌」(2019年度東京大学総合文化研究科提出博士論文)
その他
「自著紹介『宣教と改宗:南米先住民とイエズス会の交流史』」『ラテンアメリカ・カリブ研究』26: 58-60.(pdf)
2020
"Christianization and Language: A Linguistic Anthropological Analysis on Gender Indexicality in Ritual Speech in the Jesuit Missions of Chiquitos, South America. Japanese Review of Cultural Anthropology. 20(2):325-331.(2020「キリスト教化と言語:南米チキトス地方のイエズス会布教区におけるジェンダー指標の用法から」『文化人類学』84(4): 503-521の内容についての拡大版要旨)。
調査歴
2013.7-2013.8 ボリビア、サンタクルス県チキトス地方他で予備調査
2014.3-2016.2 ボリビア、サンタクルス県チキトス地方他で民族誌的調査
2017.12-2018.1 スペイン、マドリードおよびセビージャで史料調査
2019.3 ボリビア、サンタクルス県チキトス地方で史料調査
2019.8 アルゼンチン、ブエノスアイレスで史料調査
2020.3 アメリカ合衆国、カリフォルニア州スタンフォードで史料調査
教育歴
経歴
2011.4-2013.3 東京大学教養学部英語部会 TA(英語一列)
2011.4-2014.3 東京大学駒場アクティブ・ラーニング・スタジオ TA(ALESS他)
2012.5-2016.3 東京大学東洋文化研究所日本・ネパール協会旧蔵資料データベース構築協力者
2014.3-現在 ガブリエル・レネ・モレノ自治大学歴史博物館附属歴史学人類学研究所共同研究員(ボリビア)
2016.4-2018.3 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2016.4-2016.9 東京大学教養学部初年次ゼミ文科 TA(文化人類学)
2016.4-2016.9 東京大学駒場アクティブ・ラーニング・スタジオ TA(ALESS)
2016.10-2018.9 東京海洋大学海洋工学部非常勤講師
2018.4-2018.9 東洋大学国際学部非常勤講師
2018.10-現在 宇都宮大学国際学部専任助教
2019.5-現在 サン・マルティン大学日本研究センター共同研究員(アルゼンチン)
2020.4-現在 東京大学教養学部非常勤講師
担当経験のある科目
スペイン語I, II(東洋大学国際学部、2018年)
スペイン語III, IV(東京海洋大学海洋工学部、2016-2018年)
スペイン語一列, 二列(東京大学教養学部、2020年-)
スペイン語応用I(宇都宮大学国際学部、2020年-)
スペイン語講読B, D(宇都宮大学国際学部、2018年-)
多文化共生基礎C:文化人類学(宇都宮大学国際学部、2019年-)
民族誌学演習(宇都宮大学国際学部、2020年-)
International Communication Seminar(宇都宮大学国際学部、2019年-)
学歴
学歴
2007.4 東京芸術大学音楽学部楽理科入学
2011.3 東京芸術大学音楽学部楽理科卒業
2011.4 東京大学大学院総合文化研究科修士課程入学
2013.3 東京大学大学院総合文化研究科修了
2013.4 東京大学大学院総合文化研究科博士課程進学
2019.3 東京大学大学院総合文化研究科博士課程、単位取得満期退学
学位
2011.3 学士(音楽)
2013.3 修士(学術)
2020.2 博士(学術)
研究助成/その他
研究助成、奨学金など
東京大学大学院総合文化研究科、東京大学博士課程研究遂行協力制度
公益財団法人松下幸之助記念財団、松下幸之助国際スカラシップ
公益信託澁澤民族学振興基金、大学院生等に対する研究活動助成
日本学術振興会科学研究費助成事業、特別研究員奨励費
公益財団法人松下幸之助記念財団、研究助成
公益信託澁澤民族学振興基金、国際研究集会参加旅費助成
日本学術振興会科学研究費助成事業、若手研究
国立大学法人宇都宮大学ダイバーシティ研究環境推進本部、平成31年度女性教員海外派遣制度(国立研究開発法人科学技術振興機構科学技術人材育成費補助事業、ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ先端型による):アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー
所属学会
日本文化人類学会
社会言語科学会
日本音楽学会
社会活動
松下幸之助記念財団フォーラム委員(2019-)
宇都宮大学同窓会知求会ニュース第71号「自己と他者の文化人類学」、p.1-3.
静岡県立島田高校出前授業講師「国際学はおもしろい」(2019.9.18)
栃木県立宇都宮南高校出前授業講師「国際学はおもしろい」(2019.10.24)
宇都宮大学国際学部ホームカミングデー座談会「教員・学生による国際学部の研究教育活動発信」(2019.11.23)
宇都宮大学広報誌UUNOW「研究Keyword:変化を肯定する文化人類学」、p.14-15.
FD関連
東京大学フューチャー・ファカルティー・プログラム 修了(2017)
東京大学英語によるアブストラクトの書き方セミナー 修了(2017)
備考
2020年現在
2019