髙野 冬馬(TAKANO,Toma)
ステイタス 修士2年
研究題目 ビジネスライク化するNPOにおける、周縁化される労働・活動に関する人類学
研究関心領域 組織/ケア/倫理/NGO/アカウンタビリティ(監査、ANT、統治性、正当化)に関連する人類学
対象地域 日本
研究内容
非営利組織(NPO)は産業化された社会で広く見られ、世界的に設立数も増加し続けている組織、集団です。しかしながら、人類学においては調査対象/調査地の関係から、ほとんど注目されてきませんでした。しかし現行の議論を見れば、NPOに関する議論は人類学において行われてきた開発におけるNGOの議論と大きな重なりを見せており、それらは「ビジネスライク化」という単語で説明できると考えています。ビジネスライク化とは、新自由主義的な国家、制度の改編によって、非営利であるNPOの組織運営が営利企業的になる現象です。私はこの現象を出発点に、1)NPOのビジネスライク化がどのような具体的な人・モノなどの配置によって可能になるのか、2)それは、これまでのNPOの活動をどのように変化させるのか、3)ビジネスライク化の統治を受けるNPO(特に現場)職員は、ビジネスライク化によってどのように従属=主体化し、どのようにそこから逸脱/抵抗しうるのか、ということについて調べています。
このような研究は、組織人類学、ケアの人類学、アカウンタビリティ(監査、ANT、統治性、正当化)に関連する人類学的研究と関連し、それらを発展しうるものであると考えています。
研究業績
学会・口頭発表
高野冬馬 シングルマザー伴走支援NPO における―母子、職員、地域、社会との―「つながり」に関する人類学的研究.
日本NPO 学会第25 回研究大会, 京都, 2023 年6 月.(口頭発表・査読あり)
論文
書評
翻訳
報告書
学位論文
その他
調査・研究歴
2017-2021:学生起業家支援を行うNPOにて、インターンシップの傍ら参与観察
2022.05-2023.03:シングルマザーの生活伴走支援を行うNPOにて、中期の参与観察
学部、修士課程では異なるふたつのNPOにて調査を行ってきました。
学部時代:学生起業家支援を行うNPOを対象に、NPOが目指すミッションから活動がドリフトしないように、「どのようなお金を集め、どのように使うのか」ということに極めて敏感に対処している営みに焦点を当て、「お金の色」という概念を使いながら議論しました。
修士課程:シングルマザー支援を行うNPOを対象にしています。NPOが「お金の色」や制度、人・モノの配置によって、ビジネスライク化ー目的思考・数値化・効率化志向になることーする中、現場の職員は、それらの効率化から逸脱するようなシングルマザーの多様なニーズに対してどのように調整し、支援を行っているのかという問いについて、現場で行われる具体的なケア、そして組織内部で行われる議論や交渉を観察することで議論しようと考えています。
教育歴
経歴
2021.09 立教大学経営学部 卒業
2022.04 東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻文化人類学コース 入学
これまで、二つのNPOにおいて合計5年間のインターンシップ/業務委託での経験をしてきました。
研究助成/その他
2022年7月~ 東京大学大学院卓越大学院GSI-WINGS 卓越リサーチアシスタント
備考 2023年6月現在