潘 勁羽・PAN, Jinyu・ハン ケイウ
ステイタス
連絡先 pan.jinyu@anthro.c.u-tokyo.ac.jp
研究題目
研究関心領域 中国1950年代民族識別作業以降の少数民族の歴史、現在進行形のナシ族・モソ人のパブリックヒストリー
対象地域 中国雲南省・四川省
研究内容
研究対象:モソ人とは中国雲南省と四川省の境界地域に居住している少数⺠族で、一部のモソ人が母系制をとることで知られている。1950年代民族識別作業の中で、モソ人の反対にもかかわらず、政府によって雲南省側のモソ人は「ナシ族」に分類され、四川省側のモソ人は「モンゴル族」と分類されている。1990年に雲南省のモソ人はナシ族のサブ・エスニック集団として「モソ人」という呼称を得た。
修士の研究(当時はコロナ時期):雲南省麗江市寧蒗彝族自治県永寧鎮落水村をフィールドとして、母系制を継続するモソ人の婚姻について三つの事例から考察し、地域社会の要因と個人の戦略に着目することで、少数民族のアイデンティティ形成プロセスにおける力学を明らかにした。1950年代からの一連の民族政策と国民統合を通して、モソ文化が長い時間で国家によって規定され、公定された民族意識が強化されてきた。このような背景をもとに、民族誌と観光開発なかで「女児国」という表象が作られていき、それがモソ人のアイデンティティ形成に影響を及ぼした。そこで、私は従来のモソ婚姻研究におけるオリエンタリズム的思考とフェミニスト民族誌に対して批判を加えることを試みた。また、国家側から見れば固定化された国民統合プロセス、あるいは現代中国の漢化は、少数民族が能動的戦略的に利用できる文化資源であり、生存空間を拓く戦略に結びついている可能性を示した。
これから:
①モソ人の「アイデンティティ」の研究ではなく、「モソ人」と名乗る人々が直面するリアリティに関する研究をしたい。特に、彼らの自分の歴史を語る実践と対話が置かれた文脈に注目する。
②少数民族の文化保護が制度化していく中で、公式的にナシ族のサブ・エスニック集団に属するモソ人(エリートたち)の働きかけを明らかにする。
③「ナシ族・モソ人」関係を通時的に・共時的に考察する。
→「モソ人」と記述される人々のための民族誌に努める。
雲の南の無限の森の中から、東の京の6畳くらいの部屋の机の上へ
研究業績
学会・口頭発表
ハンケイウ(2023)「モソ人母系社会における婚姻に関する人類学的考察:フェミニスト民族誌と『民族』概念の再考」日本文化人類学会関東地区研究懇談会2022年度修論・博論発表会, 場所:東京都立大学(オンライン同時開催), 2023年3月26日.(口頭発表・査読なし)
論文
(査読有り)
(査読無し)
書評
翻訳
報告書
学位論文
ハンケイウ(2023)「モソ人母系社会における婚姻に関する人類学的考察:フェミニスト民族誌と『民族』概念の再考」東京外国語大学総合国際学研究科2022年度修士論文. 査読なし.
その他
調査歴
2021年9月9日〜2021年10月26日 中国雲南省麗江市寧蒗彝族自治県永寧鎮落水村 モソ人女性の出産と妊娠の経験と婚姻家族形態の変化
2023年7月15日〜2023年8月19日 中国雲南省麗江市寧蒗彝族自治県永寧鎮と拉伯郷 「モソ人」と名乗る人々の歴史実践
2024年9月2日〜2024年10月13日 中国雲南省麗江市、麗江市寧蒗彝族自治県永寧鎮と拉伯郷 パブリックヒストリー
*調査歴の行が増えつつ、背景にある金沙江沿岸の村も見えるようになります。
教育歴
2015年9月〜2019年6月 (中国)湖南省⻑沙市 湖南農業大学外国語学院日本語専攻 学士(文学)
2021年4月〜2023年3月 東京外国語大学大学院総合国際学研究科 世界言語社会専攻言語文化コース 修士(学術)
2024年4月 東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻文化人類学コース 博士後期課程 入学
経歴
2022年5月10日〜2022年7月12日 東京外国語大学国際社会学部専門科目「アフリカ地域研究演習3」ティーチング・アシスタント
2022年5月11日〜2023年1月25日 東京外国語大学大学院総合国際学研究科 ティーチング・アシスタント
2022年5月11日〜2023年3月31日 目白大学人間福祉学科 研究支援員
2022年10月4日〜2023年1月24日 東京外国語大学国際社会学部専門科目「アフリカ地域研究演習3」ティーチング・アシスタント
研究助成/その他
2024年〜2027年 JST次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING) 東京大学「グリーントランスフォーメーション(GX)を先導する高度人材育成(SPRING GX)」プロジェクト生
備考 2024年10月現在