西浦 まどか NISHIURA, Madoka(土田)[編集中]
ステイタス 博士6年 Doctor
連絡先 tcd.madoka [at] gmail.com
研究課題
聾(ろう)・手話から考える、音楽・美的形式のパフォーマティヴィティ/力
研究関心領域
音楽人類学、言語人類学、ろう者学、手話言語学、遊び研究
対象地域
インドネシア(バリ島)
個人ブログ(note)
研究内容
「ろう者と音楽」の関わりを、彼らの言語=手話言語に着目して研究している。これは、言語と音楽の根源的な関係に関する研究でもある。
聴覚をもたない「ろう者」は、聴覚を前提とする「音楽」と一見相容れない。
しかしそれはろう者が音楽と無縁ということではなく、むしろろう者が音楽に対峙する場には「音楽」を扱う学問の「常識」--特に、音楽は音であるという常識--を相対化する可能性をもつ。
着目するのは手話詩などの芸術手話である。
聴世界では、音楽と詩歌などとのつながり・関わりが論じられてきた。それでは、音声ではなく身体や時空間の言語である手話は、そこにどう位置付けられるのか。
手話というパースペクティブは、音楽と言語の議論に身体性・時空間性・非音声性をもちこみ、広くコミュニケーションやダンス、遊びなどの観点とも接合する可能性をもつ。
ろう者は聴世界の音楽をどう経験しているのか、そして彼らの言語からうまれた芸術手話の形態は、聴世界の音楽と理論的に連続性をもつものなのか。
これらを明らかにするため、「手話の村」として知られるインドネシア;バリ島北部のブンカラ村にてフィールドワークを行い、音楽人類学や言語人類学(特に社会記号論)などの理論モデルから考察を試みている。
研究業績
論文
査読有り論文
西浦まどか 2022「響きあい満ちる聾の身体――バリ島「聾の村」ブンカラにおける音楽参与・孤独・自己充足 」『文化人類学』 87(3): 441-460.
査読なし論文
西浦まどか 2023「「音のない音楽」の論理――翻訳としての《LISTEN リッスン》」雫境編『「LISTEN リッスン」の彼方に』論創社、pp.235-250.
土田(西浦)まどか 2021「聾歌のラインズ――手話歌問題はなぜ起こるのか」『手話学研究』30(3): 18-30.
書評
土田(西浦)まどか 2022「書評:岩原紘伊『村落エコツーリズムをつくる人びと––バリの観光開発と生活をめぐる民族誌』」『文化人類学研究』22: 121-125.
土田(西浦)まどか 2018「書評:吉田優貴『いつも躍っている子供たち――聾・身体・ケニア』」『文化人類学』83(3): 496-498.
学位論文
土田(西浦)まどか 2018 「手話で歌うということー翻訳としての手話歌をめぐる語用・メタ語用論的試論」2017年度東京大学総合文化研究科提出修士論文.
土田(西浦)まどか 2016 「サンノゼ・タイコの活動と理念ー和太鼓との比較から」2015年度東京藝術大学音楽学部提出卒業論文.
学会・口頭発表
学会発表(※すべて単著)
《国内》
土田(西浦)まどか「身体の詩学に向けて:バリ島における観光客-ろう住民間手話コミュニケーションを事例に」社会人類学研究会、口頭発表、オンライン、2021年7月。
土田(西浦)まどか「書評:岩原紘伊『村落エコツーリズムをつくる人びと––バリの観光開発と生活をめぐる民族誌』」現代文化人類学会、口頭発表、オンライン、2021年6月。
土田(西浦)まどか「バリ島⼿話共有コミュニティにおけるデフ・ゲイン」文化人類学会、口頭発表、オンライン、2021年5月。
土田(西浦)まどか「障壁としての音楽:バリ島ろう児の孤独のありか」日本文化人類学会関東地区懇談会、口頭発表、オンライン、2021年3月。
土田(西浦)まどか「音楽研究と遊び論の接合に向けて」東洋音楽学会大会、口頭発表、オンライン、2020年11月。
土田(西浦)まどか「観光文脈における村手話ベースドコミュニケーション:手話の映像的特性とコミュニケーションのゴール的側面」文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究・共創的コミュニケーションのための言語進化学若手の会第5回全体会議、口頭発表、オンライン、2020年11月。
土田(西浦)まどか「『聴者も手話を話す村』における言語の境界と変容」日本文化人類学会大会、口頭発表、於仙台、2019年6月。
土田(西浦)まどか「バリ島・“デフ・ヴィレッジ”におけるろう者の芸能参加とアイデンティティ」「音楽と社会」研究会・研究フォーラム、口頭発表、於京都、2019年2月17日。
土田(西浦)まどか「『音のない音楽』の記号論―音楽参与者としてのろう者の位置づけをめぐって」東洋音楽学会大会、口頭発表、於東京、2018年11月。
土田(西浦)まどか「手話で歌うということ―翻訳としての手話歌に関するメタ語用論的試論」東洋音楽学会東日本支部例会、口頭発表、於東京、2018年7月7日。
《国外》
Madoka NISHIURA. How are Deaf People Involved with Music in Bali?: Musicking as a Multimodal Interaction with Playfulness. SEM (the Society for Ethnomusicology)、口頭発表、於オタワ:カナダ、2023年10月。
Madoka NISHIURA. Doubled Space: Cardinal and Conceptual Pointing in Village Sign Language. Michicagoan Conference in Linguistic Anthropology、口頭発表、於シカゴ:アメリカ合衆国、2023年5月。
Madoka TSUCHIDA (NISHIURA). The Poetics of Bodies: From Sign Language to Dance. ハーバード大学 "WORKSHOP ON SEMIOTICS RESEARCH"、口頭発表、於ケンブリッジ:アメリカ合衆国、2022年5月。
Madoka TSUCHIDA (NISHIURA). An Ethnographic Research of a “Deaf Village” in Bali: Sign Language, Communication, and Music. インドネシア科学院、口頭発表、於ジャカルタ:インドネシア、2019年1月。
Madoka TSUCHIDA (NISHIURA). Deaf Dancers: A Case Study of ‘Deaf Village. 国際伝統音楽学会(International Council for Traditional Music World Conference)、口頭発表、於バンコク:タイ、2019年7月。
その他
土田(西浦)まどか OTOCARE discussion “Wellbeing Through Sound” ウェビナー登壇(English)、於東京、2021年3月5日。東京大学MEMU OTOCAREプロジェクト(建築x公衆衛生x音響の観点から音を介した新たなケア・建築・街のあり方を考えるプロジェクト)主催のディスカッション・ウェビナーに登壇。イギリスのアーティストと作曲家と共に議論を行いました。https://memuearthlab.jp/2021/03/05/otocare-discussion-1/.
土田(西浦)まどか「『遊び』から捉える言語・音楽・ダンスの共進化ーーバリ島「ろうの村」を事例に」アカデミスト学会、口頭発表、オンライン、2020年3月14日。オーディエンス賞3位入賞。https://academist-cf.com/journal/?p=12754
土田(西浦)まどか「ろう者は音楽をどう翻訳するのか」 第1回 academist PRIZE 、口頭発表、於東京、 2018年6月26日。
記事掲載
Madoka TSUCHIDA (NISHIURA) “Insight to the world”. Link: australia’s national disability magazine、2019年10月号p.58。オーストラリアで発行されている障害情報雑誌に、「バリでろう者のダンスについて研究している日本人研究者」として紹介されました。
土田(西浦)まどか 「人はなぜ「音楽」をするのか? 文化人類学からのアプローチ – 東京大学・土田まどか氏」、academist Journal、2018年9月7日。数々の有名大学教授をおさえ、年間閲覧数5位を獲得(ジャーナル内)。https://academist-cf.com/journal/?p=8295
受賞歴
土田(西浦)まどか 2015 安宅賞受賞
調査歴
2018年12月~2020年3月 於インドネシア(バリ島)(※一時帰国期間含む)
教育歴
2021年2月 東京大学国際交流センター TA (国際研修)
2018年4月~2017年7月 東京大学教養学部初年次ゼミナール文科 TA(ラーニングコモンズ)
2017年4月~2017年7月 東京大学教養学部初年次ゼミナール文科 TA(文化人類学)
2016年10月~2017年7月 東京大学教養学部英語部会 TA(総合科目L 英語中級、教養英語)
2016年10月~2017年1月 東京大学教養学部文化人類学コース TA(フィールド演習)
東京大学教養学部文化人類学コース TA(文化人類学基礎演習)
経歴
2023年5月~2024年3月 ハーバード大学 人類学部 客員研究員
2021年8月~2022年5月 ハーバード・イェンチン研究所 客員研究員
2018年4月~2021年7月 日本学術振興会特別研究員DC1(※コロナ禍による中断期間を含む)
2018年4月 東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学) 博士後期課程入学
2018年3月 東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学) 修士課程修了
2016年4月 東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学) 修士課程入学
2016年3月 東京藝術大学音楽学部楽理科(音楽学) 卒業
研究助成/その他
2023年7月 公益財団法人 三島海雲記念財団 2023年度学術研究奨励金 (人文科学部門/個人研究奨励金)
2023年4月 公益信託澁澤民族学振興基金 2023年度大学院生等に対する研究活動助成
2022年4月 花王芸術・科学財団 音楽に関する研究への助成
2021年10月 公益信託澁澤民族学振興基金 2021年度大学院生等に対する研究活動助成(内定辞退)
2021年8月 ハーバード・イェンチン研究所 フェローシップ
2018年4月 日本学術振興会特別研究員 研究奨励費
備考