藏本 龍介 (KURAMOTO, Ryosuke)

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博士課程

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研究課題

出家者の行方:現代上座仏教徒社会ミャンマーにおける僧院経営の民族誌

研究関心領域

理論・学史 経済 社会 宗教・儀礼 歴史・文化変容 都市

対象地域

ミャンマー

研究内容

宗教と経済、いいかえれば「聖」と「俗」の関係に関心がある。キリスト教、イスラーム、仏教といった世界宗教は、「救い」とは何か、そしてどのように「救い」を実現できるかを説く。しかしいくらその教義が高邁なものであったとしても、それを実践するためには世俗的な問題、特に経済的な問題と無縁ではいられない。この点について、上座仏教の出家者は根深いジレンマを抱えている。上座仏教は無執着を理想とする。そして無執着を目指すための最適な生活スタイルが、乞食(こつじき)を基本とした出家生活であるとされる。しかし生きていくためには財の必要性という経済的な現実に適切に対処する必要がある。こうした教義的理想と経済的現実のジレンマは、「近代化」と総称される社会変動の中で、さらに先鋭化している。それでは現代社会において、出家生活はいかに成立しうるのか。この問題について、ミャンマーを事例として、「僧院経営」という視点から、その実態――出家生活における「聖」と「俗」の絡み合い――の分析を試みている。

研究業績

学会・口頭発表

<学会発表>

2005.5「現代上座部仏教社会の「アラハン」:タイにおける「聖人化」のプロセス」、日本文化人類学会、於北海道大学。

2009.5「もらっても親しくなるな:贈与論からみた上座仏教の出家者・在家者関係」、日本文化人類学会、於大阪国際交流センター。

2010.5「寺院は誰のモノ?:ミャンマー上座仏教寺院における財の所有と分配」、パーリ学仏教文化学会、於南山大学。

2010.6「ミャンマーにおける上座仏教寺院の社会貢献活動:社会逃避的な寺院が持つ社会的機能についての一考察」、「宗教と社会」学会、於立命館大学。

2011.6「Structure of the Myanmar Sangha: Institution and Network」、2011 International Conference of Institute for Southeast Asian Studies/Pusan University of Foreign Studies.

2011.9「ミャンマーにおける国家・サンガ関係」、日本宗教学会、於関西学院大学。

<研究会・セミナー・講演会など>

2007.5「ミャンマーにおける瞑想センター現状:組織、メソッド、相互関係」、ビルマ研究会全国大会、於東北学院大学。

2009.4「出家生活の理想と現実:上座仏教徒社会ミャンマー都市部における僧院運営の実態」、東南アジア学会中部例会、於名古屋大学。

2009.5「出家生活の理想と現実:上座仏教徒社会ミャンマー都市部における僧院運営の実態」、ビルマ研究会全国大会、立命館大学。

2009.7「上座仏教徒社会ミャンマーにおける僧院運営の実態:サンガの経済基盤についての一考察」、東京大学東洋文化研究所セミナー、於東京大学。

2010.11「ミャンマー上座仏教の世界:神々・餓鬼・出家者」、愛知学院大学人間文化研究所プロジェクト講演会、於愛知学院大学。

2011.11「森の僧院の挑戦:ミャンマーにおける「聖地化」をめぐるダイナミズム」、「宗教とツーリズム」研究会、於國學院大學。

2011.12「経済から宗教をみる:「宗教組織の経営」についての文化人類学的研究(趣旨説明)」、日本文化人類学会・中部地区研究懇談会/まるはち人類学研究会共催、於椙山女学園大学。

2011.12「〈都市〉を生きる出家者たち:上座仏教社会ミャンマー・ヤンゴンの僧院経営」、日本文化人類学会・中部地区研究懇談会/まるはち人類学研究会共催、於椙山女学園大学。

論文

(査読有り)

2006「現代上座仏教徒社会の「アラハン」:タイにおける「聖人化」のプロセス」、『文化人類学』、71巻1号、pp. 119-133。

2010「僧院は誰のものか:ミャンマー上座仏教における財の所有」、『パーリ学仏教文化学』、第24号、pp. 25-48。

(査読無し)

2012「ミャンマーにおける国家・サンガ関係」、『宗教研究』、第85巻4輯、pp. 133-134。

書評

2012「飯國有佳子『現代ビルマにおける宗教的実践とジェンダー』」、『文化人類学』、77巻2号、pp. 327-330。

報告書

2011「ミャンマー都市部の僧院経営:上座仏教における出家者と社会の関係についての一考察」、『富士ゼロックス 小林節太郎記念基金2009年度研究助成論文』、pp. 1-35。

学位論文

2003 「スリランカにおける『プロテスタント仏教』の展開について:現代社会における在家の上座部仏教実践の理解に向けて」、2002年度東京大学教養学部超域文化科学科卒業論文.

2005 「現代上座部仏教社会の『アラハン』:タイにおける『聖人化』のプロセス」、 2004年度東京大学大学院総合文化科学科修士論文.

その他

2008 U Wiraya『Ponye Kanye Kuthoye(威徳・業・功徳)』(ミャンマー語)

※ミャンマーの高僧であるWiraya長老と行った公開教理問答

2011「ミャンマーにおける仏教の展開」、『静と動の仏教(新アジア仏教史第4巻スリランカ・東南アジア編)』 、奈良康明・下田正弘(編)、佼成出版社、pp.165-205。

2011「ミャンマーにおける上座仏教寺院の社会貢献活動:社会逃避的な寺院が持つ社会的機能について」、『国際宗教研究所ニュースレター』、第72号(11-3)、pp. 6-10。

2012「ミャンマー上座仏教の世界:出家者の視点から」、『アジアの仏教と神々』、立川武蔵(編)、法藏館、pp. 85-104。

2012「ミャンマーの僧院巡礼:「森」へ向かう都市住民たち」、『聖地巡礼ツーリズム』、星野英紀・山中弘・岡本亮輔 (編) 、弘文堂、pp. 42-45。

調査歴

2006.3-現在 ミャンマーにて断続的に調査(累計1年10ヶ月)

教育歴

経歴

2003.3 東京大学教養学部超域文化科学科卒業

2003.4 東京大学大学院総合文化研究科修士課程進学

2005.4 同 博士課程進学

2006.4-2008.3 日本学術振興会特別研究員(DC2)

研究助成/その他

2008.4-2009.3 三島海雲記念財団

2008.10-2009.9 松下国際財団研究助成

2009.4-2010.3 日本科学協会笹川科学研究助成

2009.4-2010.3 澁澤民族学振興基金研究助成

2009.8-2010.7 富士ゼロックス小林節太郎記念基金小林フェローシップ助成

備考

2012年11月現在