大村 優介 (OMURA, Yusuke)

ステイタス 博士課程

連絡先 博士4年(Doctor, 4th)

研究題目 ラオスの首都ビエンチャンにおける、

         ①男性同性愛的欲望を持つ人々のネットワークに関する人類学的研究

         ②若手アーティストによる現代芸術に関する人類学的研究

研究関心領域  セクシュアリティ、都市、現代芸術、メディア

対象地域 ラオス(首都ビエンチャン)

(左写真)ラオス南部、パクセーにある寺院の仏像の足元での一枚。

研究内容


現在・これからの研究


◆長期調査について

 2019年2月~2021年5月にかけてラオスの首都ビエンチャンにおいて以下の内容で長期フィールドワークを行いました。


①首都ビエンチャンを生きる男性同性愛的欲望を持つ人々(persons with male homosexual desire)のネットワークに関する調査⇒大村[2021a]

②ラオスにおけるジェンダー・セクシュアリティに関わる言説、NGO等の活動動向を把握するための調査

③首都ビエンチャンで活動する若手アーティスト(ダンサー、画家、映像作家、ギャラリー関係者)に関する調査

④首都ビエンチャンの都市環境、地方部出身の若者のライフスタイルに関する調査


※新型コロナウイルス流行下で追加の調査活動は行えていませんが、渡航が可能になり次第、継続調査を行う予定です。


◆博士論文について

 上記の調査を踏まえ、①と③の内容を軸に博士論文の執筆を目指しています。「男性同性愛的欲望を持つ人々」と「現代芸術の担い手」という異なる(無論、重なり合う可能性はあります)グループを取り上げ、現在のラオスの政治・文化的状況の中では様々な面で周縁化されがちな人々が、首都の変容する都市空間の中で、いかにして自らの居場所や表現の場を確保しているのかに注目しています。それゆえ、本研究は主にセクシュアリティ研究(クィア研究)、芸術研究、都市研究にまたがる研究であると言えます。

 それはラオス国内の首都-地方部、ラオスと隣国タイ、ラオスと諸外国、異性愛中心的な社会制度の中での非異性愛者、世界の芸術界におけるラオス、ラオスにおける現代芸術など、様々な形で現れる「中心と周縁」「外部と内部」の関係を描写し分析することにもなると考えています。


これまでの研究


◆修士論文⇒大村[2018]

 修士課程では主に同性愛者を対象とした民族誌的事例研究を探す中でメディアの問題に特に関心を持ち、修士論文ではセクシュアリティとメディアとの関係を中心的テーマに据えました。人類学における同性愛者研究、またはセクシュアリティ研究の流れをおさえた上で、セクシュアリティ研究において欲望、身体的感覚について探究するための理論的枠組みを提示することを試みました。


◆「セクシュアリティ」概念について⇒大村[2019]

 その後、修士論文の一部を基に、大村[2019]として論文を発表しました。本論文は「セクシュアリティ」概念を人類学、または人文社会科学においてどのように用いることができるかに関しての試論であり、「セクシュアリティの人類学」とは、この「セクシュアリティ」、つまり「性的なもの」の意味内容を、絶え間なく探究し拡張させていく作業だと考えています。


今後の研究構想


◆人間の生の脆弱性、不安、弱さについての人類学的研究 cf. 大村[2021b]

◆「セクシュアリティの人類学」や「クィア人類学」とでも呼べる学問領域に関する探究 cf. 大村[2019]

 特に「非欧米地域のクィア研究」の可能性について考え、貢献したいと思っています。

◆ラオスにおけるオルタナティブな言論・表現空間の可能性の探求

 ラオスの若者のエッセイを集めた同人誌を発行することを通じて、ラオスの若者の自己表現に関して、応用人類学的な実践を試みたいと も考えています。

研究業績

学会・口頭発表

2018/3/17 「セクシュアリティの人類学を組み替えるー身体、感覚、メディアの交差から」日本文化人類学会関東地区研究懇談会、博士論文・修士論文発表会、於・東京大学

2020/12/19「フィールドにおける不安と予測不可能性に向き合い、取り入れる―ラオスの首都ビエンチャンにおけるフィールドワークでの省察」エスノグラフィーとフィクション研究会、第2回研究発表会、於・Zoomオンライン開催

論文

(査読有り)

2019「『セクシュアリティ』概念を/とともに考える」『Gender & Sexuality: Journal of the Center for Gender Studies, ICU』14:81-100.

 (こちらからダウンロード可能 https://ci.nii.ac.jp/naid/120006783368/

(査読無し)

2021a「ラオスの首都ビエンチャンにおける、男性同性愛的欲望を持つ人々に関する研究へ向けて」『東南アジアと「LGBT」の政治:性的少数者をめぐって何が争われているのか』日下渉・青山薫・伊賀司・田村慶子(編著)、明石書店、pp.229-232。

2021b「フィールドにおける不安に向き合い、取り入れる――ジョルジュ・ドゥブルーの民族精神医学、ミヤギフトシの小説「ストレンジャー」、ラオスでのフィールドワーク経験を手がかりに」『パハロス』第2号、エスノグラフィーとフィクション研究会、pp. 26-36.

 (こちらからダウンロード可能 https://sites.google.com/view/efstudies/pajaros

書評

2018 「熊田陽子『性風俗世界を生きる「おんなのこ」のエスノグラフィ:SM・関係性・「自己」がつむぐもの』」『文化人類学』83(2):297-299.

翻訳


報告書

2015 「異文化、他者との身体を通じた出会い―日本のカンボジア舞踊教室での観察から―」、『<作ること>の人類学 2014年度「フィールド演習」等調査報告書』、東京大学文化人類学研究室、 pp.3-18。

2021 "Research Report: Qualitative Study on Gender Recognition of Experts and Youths in Vientiane Capital, Lao PDR. (2019/2~2021/1)" Submitted to Faculty of Social Sciences, National University of Laos.

2021 「ラオス都市部における同性愛者の自己認識、欲望、関係性の形成に関する人類学的研究」松下幸之助記念志財団国際スカラシップ成果報告書 (こちらから閲覧可能 http://matsushita-konosuke-zaidan.or.jp/works/jpn/pdf/17-a03.pdf

学位論文

2016 「家族の持続と臨界~アメリカにおける同性カップルの家族形成の事例から~」(2015年度東京大学教養学部提出卒業論文)

2018 「セクシュアリティの人類学を組み替えるー身体、感覚、メディアの交差からー」(2017年度東京大学大学院総合文化研究科提出修士卒業論文)

その他

2016 "The Other End of the Spectrum: The Outlook for the Younger Generation." EURObiZ JAPAN. January. pp.10-13. (Elliot Silverbergとの共著)

調査歴

2018.9 予備調査(ラオス、首都ヴィエンチャン)

2018.11-2019.1 予備調査(ラオス、首都ヴィエンチャン)

2019.3-2021.5 長期調査(ラオス、首都ヴィエンチャン)

教育歴

2016.7~2017.3 留学生チューター(東京大学大学院総合文化研究科)

2016.10~12 卓越TA(東京大学大学院総合文化研究科)

2021.4~「フィールド演習」RA(東京大学教養学部教養学科)

2021.7.3 麻布学園高等学校、教養総合授業「文化人類学の叡智」ゲストスピーカー

経歴

2012.4 東京大学教養学部入学

2016.3 東京大学教養学部卒業(文化人類学コース修了、サブメジャーブログラム(相関社会科学コース)修了)

2016.4 東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学) 修士課程入学

2018.3 東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学) 修士課程修了

2018.4 東京大学総合文化研究科超域文化科学専攻(文化人類学) 博士後期課程入学

2019.2-2021.1 ラオス国立大学社会科学部訪問研究員

研究助成/その他

2017年度松下幸之助記念財団国際スカラシップ奨学生(題目:「ラオス都市部における同性愛者の自己認識、欲望、関係性の形成に関する人類学的研究」)(支給期間:2019.2-2021.1)

2021年度りそなアジア・オセアニア財団個人研究助成(題目:「都市における自己変容の経験としての芸術実践:ラオスの首都ビエンチャンにおける、若手アーティストに関する人類学的研究」)(支給期間:2021.4-2022.3)

備考 2021年9月現在